ベンチプレスは筋トレの王道として不動の人気を誇りますが、その効果を最大限に引き出すには、正しいやり方やフォーム、適切なウェイト選択、効果的なウォームアップが不可欠です。
この記事では、ベンチプレスの基本から応用テクニック、安全対策までを網羅しています。
あなたのトレーニングが次のレベルへと進むための情報を提供します。
ベンチプレスの効果は?
2022年10月の論文によると、どのグリップ幅でも効果があることが分かったようです。
この論文の著者はLasse Mausehund、Amelie Werkhausen、Julia Bartsch、Tron Krosshaugです。
この研究は、ノルウェーのオスロにあるノルウェースポーツサイエンス大学(Norwegian School of Sport Sciences)で行われました。
この研究は、筋電図(EMG)に加えて関節モーメント(NJM)と強度正規化NJM(nNJM)により、肘と肩の筋肉の負荷を調査しました。
研究では、グリップ幅と肘の位置の変化が肘と肩のNJMおよびnNJM、および主要な筋肉の筋活動にどのように影響するかを評価しました。結果は、すべてのベンチプレスのやり方で高い肘と肩の筋肉努力を達成したことを示しています。
グリップ幅の狭めは、肘のNJM、三頭筋の外側頭部、前部三角筋、大胸筋の鎖骨頭部のEMG活動を大きくしました。グリップ幅の広めは、肩のNJMとnNJM、および大胸筋の腹部頭のEMG活動を大きくしました。
したがって、すべてのベンチプレス変種は肘の伸展筋と肩の屈筋および水平内転筋の強度の増加と肥大を刺激することができると結論付けられます。狭いグリップ幅を選択した場合は、肘の伸展筋と肩の屈筋の大きな適応が期待でき、広いグリップ幅を選択した場合は、肩の水平内転筋の大きな適応が期待できます。
筋トレの王道と言われる通り、確かな効果があるようです。
ベンチプレスのやり方
筋トレの定番中のキングともいえるベンチプレスは、基本的な動作をマスターすることでさらに効果を高めることができます。正確なフォームを習得し、体への負担を適切に管理しながら、効率良くトレーニングを進めていくことが重要です。始める前に基本をしっかりおさえて、トレーニングに取り組みましょう。
正しいフォームとは
正しいフォームでベンチプレスを行うことは、怪我を防ぎながら最大限の効果を引き出すために不可欠です。バーベルを持つ際の手の位置や、胸にバーベルを下ろす深さなど細部にわたり注意が必要です。肩甲骨を寄せ、背中をしっかりとベンチにつけ、足はしっかりと床につけて安定させます。ゆっくりとバーベルを下ろし、胸の真ん中あたりに触れさせることで、胸筋をしっかりと使うことが大切です。最初は軽いウェイトから始めて、正しいフォームでの動作に慣れることからスタートしましょう。
適切なウェイト選び
効果的なベンチプレスを行うためには、自分の力量に応じたウェイトの選び方が大切です。重すぎるウェイトはフォームを崩す原因となり、怪我のリスクも高まります。逆に軽すぎると十分な負荷がかからず、トレーニングの効果も薄れるでしょう。初心者は体を傷つけないためにも、軽めの重さから始め、適正なフォームを保ちながら徐々にウェイトを増やしていくことをお勧めします。10回が限界という重さで3セットできる重量が、一つの目安になります。
ウォームアップの重要性
よくある間違いとして、ウォームアップを軽視するケースがありますが、これは怪我の原因にもなりえます。筋肉を適切に温めることで、より効率的な筋肉の働きを助け、柔軟性を高めることができます。ベンチプレスを始める前には、十分なストレッチや軽いウェイトでのプレスを行い、肩や胸、腕の筋肉をしっかりと動かしましょう。ウォームアップをすることで、トレーニング中のパフォーマンス向上にもつながり、怪我防止にも大きな役割を果たします。毎回のトレーニングにウォームアップを組み込むことで、長くトレーニングを続けることができるでしょう。
ベンチプレス上達のコツ
ベンチプレスの上達には、正しい知識とその適応が必要不可欠です。これを読むことで、あなたのトレーニングがより効果的なものになることでしょう。効率的な筋トレ方法を身につけ、それを継続することが重要なポイントになります。
頻度と休息のバランス
適切なトレーニングの頻度と休息期間を見極めることは、ベンチプレスの上達のためには極めて重要です。筋肉は、負荷を受けた後で休息をとることで回復し、それによって強くなるのです。よって、トレーニングと休息のバランスを保つことが、効率的な筋肉の成長に繋がるでしょう。
日々のトレーニングでは、過度の負荷をかけすぎてしまうと筋肉の過労を招き、かえって成果を損ねたり、怪我をするリスクが高くなります。週に2〜3回のベンチプレスを行い、それぞれのセッションの間には48時間以上の休息を取ることで、回復を促し、より強い筋肉をつくっていきます。
プログレッシブオーバーロードの理解
プログレッシブオーバーロードとは、徐々にトレーニングの強度を高めていくことであり、筋力向上のための鍵となります。完全に理解し、実践することで、ベンチプレスを含むあらゆる種類のリフティングで成果が出やすくなります。
具体的には、重量、レップ数(回数)、セット数を時間の経過とともに増やしていく必要があります。しかし、無理なく進めることが肝心です。ある程度簡単に感じられる重量で正しいフォームを身につけた後、徐々に負荷を上げていくことが大切です。過度な重量に挑戦し過ぎないよう、自身の限界を知り、それに挑戦し続けることが重要となります。
一貫性を保つトレーニング
トレーニングにおける一貫性は、成果に直結する要素です。一回や二回のトレーニングでは見えてこない長期的な成果を見据え、日々の努力を怠らないことこそが、ベンチプレスの上達へと結びつくでしょう。
定期的にジムに行き、計画をたてたトレーニングプログラムに従い続けることが大切です。すると、ゆっくりであっても確実に筋力は向上していきます。このルーチンを確立するためにも、自分自身の生活リズムやスケジュールに合うトレーニング時間を設定することが助けとなるでしょう。また、仲間を作り一緒にトレーニングすることで、モチベーションの維持にも繋がります。
ベンチプレスの安全対策
ベンチプレスは、筋トレの中でも特に上半身を強化する効果が高いエクササイズですが、間違った方法で実践すると怪我に繋がるケースもあります。正しいフォームを身につけ、適切な重量を使用し、そして安全対策を徹底することが重要です。これからその具体的な対策について解説していきます。
スポッターの必要性
スポッターは、ベンチプレスにおける安全対策の中でも、非常に重要な役割をもちます。スポッターとは、トレーニングを行っている者をサポートする人のことで、万が一の状況に備えてバーベルを支えるなどの助けをします。バーベルが落下した際の怪我を防ぐため、信頼できるスポッターを立てることが大切です。加えて、フォームのチェックや、精神的なサポートなど、スポッターには多くの利点があります。トレーニングを行う際には、スポッターと事前にコミュニケーションを取り、きちんと準備をしておくことが安全なベンチプレスには欠かせません。
怪我を避けるためのヒント
ベンチプレスで怪我を避けるためには、いくつかのポイントを理解しておく必要があります。まず、正確なフォームを身につけることです。背中をしっかりとベンチにつけ、足は床にしっかりと固定しましょう。肩の位置を安定させ、バーベルをコントロールしながら、ゆっくりとした動作で持ち上げることが重要です。
次に、適切な重量選びも大切です。自分の限界以上の重量を選んでしまうと、フォームが乱れ、怪我のリスクを高めます。また、ウォーミングアップを十分に行い、筋肉を慣らすことも怪我を防ぐポイントです。ストレッチや軽い重量でのウォームアップセットで筋肉を準備し、本格的なトレーニングに備えましょう。
過度なトレーニングの危険性
アスリートから日常のトレーニング愛好家までが、しばしば陥りがちなのが過度なトレーニングです。特に、ベンチプレスのような重量トレーニングでは、限界を超えることでより多くの筋肉を得られるという考えが、過度なトレーニングへと誘います。しかし、その結果は逆効果になる可能性が高いのです。過度に重い重量を持ち上げようとすると、体は怪我をしやすくなり、回復に必要な時間が増えるため、結局のところ効率が悪くなります。
そして、疲労困憊の状態でトレーニングを続けると、オーバートレーニング症候群に陥るリスクがあります。これは、パフォーマンスの低下、免疫力の弱化、モチベーションの低下などあらゆるネガティブな影響をもたらします。適切な休息とリカバリーを取り入れること、そして自分の身体のサインを聞き、無理をしないことが長期にわたってトレーニングを続けるうえでの鍵となります。
ベンチプレスで筋肉を構築
ベンチプレスは筋肉を効率よく構築するために最適なトレーニングの一つです。胸部、上腕の三頭筋、前肩の筋肉に対して直接的な刺激を与えることができるため、鍛え上げた体を目指す多くのトレーニーが取り入れています。適切なフォームで実施することにより、怪我のリスクを減らしながら、理想の筋肉へと導きます。
重点を置くべき筋肉群
ベンチプレスは、特に胸部の大胸筋をターゲットにしていますが、それだけではなく、上腕三頭筋や前肩の三角筋前部といった筋肉群も同時に鍛えることが可能です。適切なフォームでベンチプレスを行うことで、大胸筋の下部だけでなく、中央部や上部にも効果的にアプローチして筋肉のバランスを整えることができます。さらにバリエーションを加えることで、例えばインクラインやデクラインといった異なる角度からの刺激を加えることによって、筋組織の成長を促し、より広範囲の筋肉を鍛え上げることができるのです。
ボリュームと強度の調整
ベンチプレスの効果を最大限に発揮させるためには、ボリューム(セット数や総レップ数)と強度(重量)を適切に調整することが重要です。初心者のうちは、自分の体を十分に理解していない可能性があるため、怪我を避けるためにも軽めの重量でフォームをしっかりと定着させることを優先します。
徐々に筋力がついてきたら、重量を増やしていくことにより、筋肉に対する負荷を上げていきます。一方で高重量でトレーニングする場合は、ケガを防ぐためにスポッターのアシストを得るなどの安全策を取ることが必須です。また、長期的な成長を促すためには、休息を取りつつ周期的にボリュームや強度を変化させるピリオダイゼーションの考え方を取り入れることも効果的です。
食事とサプリメントの役割
筋肉を成長させる上で、ベンチプレスと同じくらい重要なのが食事とサプリメントです。トレーニング後のタンパク質摂取は筋修復と筋肥大のために不可欠です。適切な量のタンパク質を毎日摂取すること、特にトレーニング後の数時間内に高品質なタンパク質を摂取することは筋肉の回復に効果的であると言われています。
サプリメントに関しては、タンパク質サプリメント、BCAA、クレアチンなどが効果的とされています。これらは筋肉の回復を早め、筋力アップに貢献する可能性があります。しかしながら、サプリメントはあくまでも食事の補助的な役割を果たすものであり、栄養バランスの良い食事が基本となっています。適切な食事計画とサプリメントの併用により、ベンチプレスの効果を一層高めることが出来るのです。
ベンチプレスの具体的なプログラム
肉体の中核をなす大胸筋を鍛え上げるベンチプレスは、多くの鍛錬者にとって欠かせない種目です。重量を挙げる喜びとともに、筋力と筋量を向上させるための具体的なプロットを立てることが大切になります。 このプログラムは、週間スケジュールに基づき、体力レベル別に細分化しています。
初心者向け週間スケジュール
初心者は、ベンチプレスにおいて正しいフォームを身につけることが最も重要です。最初は軽い重量で基本的な動作を繰り返し、体の使い方を覚えましょう。初週はバーベルのみで行い、次週から徐々に重量を加えていきます。
週に三回を目安に、他のトレーニングと組み合わせながらベンチプレスを実施します。初心者の週間スケジュール例としては、月曜日に5セットの10回を行い、筋肉の感覚を掴むことを目的とします。水曜日には4セットの8回で少し重量を増やし、金曜日には3セットの6回でさらに重量を上げて、筋肉に負荷をかけます。重量は無理なく持ち上げられる範囲で、週ごとに少しずつ増やしていくと良いでしょう。
中級者向けの挑戦
中級者は、ベースとなる筋力がある程度ついているため、より高い負荷と変化を取り入れるプログラムを始める時期です。一週間の中で、重量、セット数、レップ数を変えることで、筋肉に新たな刺激を与えます。
例えば、週の初めには4セットの6-8レップで重量を挙げる強度の高いセッションを行います。中盤では、スピードを意識した5セットの5レップで重量を控えめにして爆発力を養います。週末には、12-15レップの3セットで軽~中重量にて筋肉の持久力を高めます。これにより、筋肉の成長に必要な多角的な刺激が与えられるでしょう。
上級者の極め方
上級者にとってのベンチプレスは、さらなる領域への挑戦です。プレートの組み合わせやトレーニングの技術で限界を押し広げ、自らのパフォーマンスを高めていくことが求められます。
一つのアプローチとして、「マクロサイクル」と「ミクロサイクル」の計画を立てて、期間を区切りながら目標を設定してトレーニングを進めます。高重量のベンチプレスを中心としたセッション、動的筋力を鍛えるスピードベンチプレス、負荷をかけ続けるディセントトレーニングなどを織り交ぜながら、1週間に4~5回のトレーニングを実施します。
必ずしも重量を追いかけるだけが目標ではありません。重量、速度、フォームの安定を考慮し、バランス良くトレーニングを行うことが上級者としての成長につながるでしょう。そのために、自分自身を客観視しながら、日々の成果を評価していく必要があります。
ベンチプレスの記録を伸ばす
ベンチプレスの記録を伸ばすには、根本的な力の強化はもちろんのこと、技術の向上も重要です。トレーニングは適切にプログラムされ、休息も充分に取る必要があります。また、食事や栄養摂取も記録アップには欠かせません。日々の小さな工夫が大幅な記録更新へと繋がるのです。
1RMを増やすテクニック
1RM、つまり最大重量を増やすテクニックにはいくつかありますが、まずはフォームや呼吸のコントロールが基本となります。軽重量から始め、適正なフォームで反復練習することが大切です。さらに、ベンチプレスの動作を細分化し、それぞれの段階で力が最大限に発揮できるような練習に取り組むことが有効です。例えば、ボトムポジションからの押し上げを強化するためのパーシャルレップスや、板を使ったボードプレスなどのバリエーションも効果的でしょう。さらに、他の補助運動にて、上腕三頭筋や肩の筋肉を鍛えることも、1RMアップに寄与します。
常に記録を管理する重要性
自己のベンチプレス記録を管理することは、目標設定と振り返りのために非常に重要です。日々のトレーニング内容を記録に残すことによって、どのようなトレーニングが効果的であったか、または不足している部分は何かを把握することができます。成功体験だけでなく、失敗もしっかりと記録し分析することで、次のステップへとつなげることができるのです。また、体重の変化や食事内容、休養日数なども一緒に記録することが望ましいでしょう。これらのデータを基にして日々のトレーニングを計画的に進め、継続的な記録更新を目指していきます。
ベンチプレス以外の補完エクササイズ
ベンチプレスは胸筋を鍛える定番のトレーニングですが、効率よく筋力を高めるには補完するエクササイズも大切です。単に大きな筋肉に注目するだけでなく、体全体のバランスを考えたトレーニングを組み込むことで、怪我を防ぎつつ、より高いパフォーマンスへと導くことができます。
トータルボディバランスを整える
ボディのバランスを整えるためには、ベンチプレスだけでなく、様々な部位を鍛えるエクササイズが重要です。例えば、背筋を鍛えるデッドリフトやローイング、肩の安定性を高めるショルダープレスやサイドレイズ、そしてコアの強化にはプランクやシットアップが有効です。これらのトレーニングを取り入れることで、ベンチプレスで鍛えた胸筋を支える筋肉群が強化され、結果的にベンチプレスのパフォーマンスも向上します。
アシスタンスワークの選び方
アシスタンスワークは、メインのエクササイズをサポートするためのトレーニングです。筋肉の弱点を見つけ出し、それを補強するためのエクササイズを選ぶことが重要です。例えば、ベンチプレスにおいて肩が弱点だと感じるならば、肩をターゲットにしたレイズやローテーション運動を加えることで、全体のレベルアップが図れます。また、アシスタンスワークはベンチプレスでは鍛えにくい小さな筋肉にも焦点を当てるべきです。これによって、総合的な筋力を向上させ、怪我の予防にもつながります。
クロストレーニングのメリット
クロストレーニングとは、異なる種類の運動を組み合わせて行うトレーニングのことです。この方法には、筋肉のバランスを整えたり、モチベーションを高めたりするメリットがあります。例えば、水泳やサイクリングなど他の運動を取り入れることで、ベンチプレスでは鍛えにくい部位を補完する効果が期待できます。更に、ルーチンを変えることで新鮮な刺激が得られ、精神的な飽きを防ぐこともできます。クロストレーニングは、フィットネスの増進に欠かせない要素と言えるでしょう。
まとめ
- ベンチプレスは、異なるグリップ幅で肘と肩の筋肉に効果があり、特に狭いグリップは肘の伸展筋、広いグリップは肩の内転筋に負荷をかける。
- 正しいフォームのマスターは怪我を防ぎ、最大限の効果を得るために必要。
- 自身の力量に合ったウェイト選びが大切で、ウォームアップは怪我防止とパフォーマンス向上に役立つ。
- プログレッシブオーバーロードの原則に従って徐々に負荷を高める。
- トレーニングの頻度と休息は筋肉成長のためにバランスが必要。
- 適切な食事とサプリメント摂取が筋力増加と筋肉回復に寄与。
- ベンチプレスは胸筋、上腕三頭筋、前肩筋の強化に効果的。
- トレーニングプログラムは経験レベルに応じて異なり、一貫性が長期的な成果につながる。
- 安全対策としてスポットティングが重要で、過度なトレーニングは避けるべき。
- 記録を管理し、プログラムを計画的に進めることで成果を最大化。
- ベンチプレス以外の補完エクササイズやクロストレーニングを取り入れることで、全体のバランスを整える。